思い出したころにモリミー(笑)
森見さんの作品はこれで4作目。『太陽の塔』や『四畳半神話大系』なんかの倒錯したおバカ学生にそこはかとないおかしさを感じ、『きつねのはなし』でしっとりした「怖い」京都を愉しんでから、しばらく遠ざかっていましたが…
これまた面白いじゃないですか!!
5篇の短編から成っていますが、登場人物がそれぞれリンクしていて、これまた森見さんらしいなぁと感じました。それぞれ、話の母体は有名なクラシックですが原作をしらなくても十分楽しいです。ま、それでも読んだ後、原作が気になって、読んだことなかった坂口安吾さんの『桜の森の満開の下』を青空文庫でみつけてすぐに読んでみました。原作では、「女」の言うがままに「男」はバタバタ人をあやめるという直接的な、残虐な怖さがありますが、、よく考えると森見バージョンもそらおそろしい。ある意味「女」に翻弄される男の姿は、谷崎作品に出てくる「女」に創り上げられる「男」の姿を見てるようで…
表題作の『走れメロス』はおバカ度MAX(笑)こりゃおもろいわぁ。よくもこれだけオモロイこと考えつくもんだ。次から次へと息もつかせぬ展開とはこのことだね。こんな「友情」もありなんだとしみじみ。最後、3人で「桃色ブリーフ」で踊るシーンなんて倒錯世界の極み。楽しめます。
その他、『藪の中』も『山月記』も『百物語』も…
みんな面白くて、一気に読み進めてしまいました。
こういうモリミーも、いいやん。